アニメをゼロからやり直す方法

東海道新幹線(東京行き)の車中

・肥満した、いかにもヲタクのような外見の、30歳ぐらいの男が、窓側の席で、車内販売のアイスクリームを食べていた。

 

 

 

 

× × × × ×

 

某大学の学生会館

「アニメを考える会」の活動部屋

 

広島剛「おまえお盆実家に帰るの」

薬島誠「帰るわけないだろ。アニメが止まっちゃうだろ。いくらネット配信が今は充実してるとはいえ……」

剛「でもいいよな実家近くて。群馬だろ? 広島*1はテレ東系が観られないんだよ」

誠「そりゃキツいな。岡山と香川はテレ東系のテレビ局があるんだっけ」

剛「テレビせとうちだな。

 まぁ、おれもことし広島に帰省する気はないけどな」

誠「そう言って、クライマックスシリーズになったらマツダ(スタジアム)に駆けつけるくせにw」

剛「まぁねw 今年はリーグ3位のチームには負けたくないww」

 

誠「ところで、管理人さんは、どうしちゃったんだろう? 暴露本みたいな回想記事書いたり、『精神科の薬飲み忘れた』とか変な日記とつぜんアップしたり

 

 

・ドアをノックする音

 

誠「はーい、どうぞ?」

 

管理人「やぁ

 

誠「か、管理人さん!? ( ゚д゚)

 

管理人「東京の空気はうまいなあ~」

 

 

 

大野生奈「あのー、たしか今住んでるのは山陰地方、でしたよね?

 どうしてとつぜん上京して来られたんですか(;・∀・)」

 

管理人「あのね、

 あのね、ぼく、アニメをゼロからやり直したいの

 

生奈「ゼロからやり直す!? 

 管理人さん、ことし30歳でしたよね? わたしや剛や誠と8歳も違うじゃないですか」

 

管理人「いや、年齢は関係ないよ。

 あと、管理人じゃなくて、『ばると』って呼んでくれよ」

 

生奈「30年も生きてきて、人生のそれなりに多くの時間をアニメに費やしてきた人間が、アニメをゼロからやり直すなんて、相当むずかしい気が……(;´Д`)」

 

ばると「あのね、ぼくがね、今まで『ちゃんと観た』アニメ作品の数、数えてみたの。

 そしたら、280作品しかなかったの。全話観たって言い張れるのは、もっと少ないし、大半の作品はうまく思い出せない」

 

生奈「わたし観たアニメの数なんか数えようと思ったこともないですけど、280も蓄積があったら、尚更そのストックを帳消しにするのはむずかしい気がするのですが……」

 

いいや、そんだけ生きてきて、たったの280本しか観てないのは、少なすぎます

 

生奈・誠・剛「乱平!?

 

桐生乱平「そんだけ生きてきて300本未満ってのは、逆にゼロに近いんじゃないですかね……

 

向かい合う、乱平とばると。

 

真面目な顔で、ばるとを凝視する乱平。

泰然自若とした表情で乱平を迎え撃つばると。

 

乱平「ばるとさん、ふたつ方法があると思うんですけど。

 

ひとつは、観たことがないアニメを、ひとつひとつパズルのピースを埋めるように消化していく方法

 

もうひとつは、今まで観てきたなかで、『好きだ!』とほんとうに言うことができるアニメを、なんべんもなんべんも繰り返し観て、血と肉にする方法

 

 ぼくがオススメするのは前者(観たことがないアニメを観る)ですかね……」

 

ばると「いや、ぼくは後者(好きなアニメを繰り返し観る)のほうがいいな」

 

乱平「なんでですか?

 

生奈・誠・剛「……!!」

 

ばると「そのほうが簡単そうだし」

 

ばるとに詰め寄る乱平。

 

乱平「あんた、ラクそうな道をどこまでも選ぶ気か!?

 

ばると「ラクそう、とは言ってないだろう? 簡単そうだ、とぼくは言ったのさ。

 いばらの道を歩くことが、いつでも正しいとは限らない」

 

乱平「そんなこと言ってるようじゃ、カレイドスターtrue tearsのことばっかり話し続けて終わりだろうな。

 あのねえ、アニメ作品が好きな人間と、アニメが好きな人間は、違うの。

 あんたは、特定のアニメ作品のファンではあっても、アニメ自体を好きになることなく終わるだろうな

 

大豆生田はるか「ら、乱平くん……

 

乱平「なんだ、いたのか大豆生田」

 

大豆生田「乱平くん……?

 ほんとうに、そうなのかな……?

 アニメ作品が好きな人と、アニメが好きな人って、ほんとうに違うのかな……?

 

乱平「あのな、大豆生田……。

(意地悪そうに)特定のアニメ作品にハマった人間が勘違いして『自分はアニメマニアになれる!』と思い込むとか、特定のアニメ作品の信者がその作品を持ち上げるためにほかのアニメ作品に対し不遜な態度をとったり不道徳な行動に出るとか、そういった悲しい歴史が繰り返されてきたんだよ

 

大豆生田「でも、そういう人ばかりじゃないでしょ?

 

 わたし、管理人さん、あ、えーと、ばるとさんは、そんな人じゃないと思う」

 

乱平「(不敵な笑みで)まさかね

 

 

ばると「……。

 

 アニメから抜け出せなくなった理由は、『アニメ雑誌カレイドスターを黙殺している!』ということだった。

 カレイドスターを観て、『俺はアニメマニアになれる!!』と思ったわけではないけど。

 『マスメディアが特定の作品を黙殺しているから……』というのは、かなりヘソ曲がりの理由だったのは、自覚してる。

 

 それに、カレイドスターtrue tearsに入れ込むあまり、特定の制作会社や作品に対しアンチのような立場を取ったことも認める。

 具体的に言えば、京都アニメーションと『CLANNAD 〜AFTER STORY〜』だよ……。

 さらに、近年になって、特にカレイドスターの地位をおびやかすような、人気も評価も図抜けて高い作品が何作か出てきた。

 そんな作品に対して、ろくすっぽ観てもいないのに、攻撃的な発言をおもにTwitterでしてきたという事実も、認める

 

肩を落とすばると。

 

大豆生田「……(´・ω・`)」

 

ばると「乱平くんよ。

 俺は、老婆を殺したラスコーリニコフかもしれんな

 

乱平「意味がわかりませんが」

 

ばると「だとしたら、シベリアに流されて、生まれ変われるかもしれないじゃないか

 

乱平「( ゚Д゚)ハァ?」

 

ばると「……(弱々しく)ちょっとはラノベ以外も読んだほうがいいと思うぜよ、乱平くん」

 

乱平「小説は関係ねえだろ💢」

 

ばると「(弱々しく)そうだな……。

 この15年間、ウネウネと蛇行し続けてきた、あっち行ったりこっち行ったり。

 そろそろ腹を括るべき時が来たか……」

 

乱平「意味のわかんねえことばっか言ってんじゃねえよ」

 

ばると「乱平くん……。

ひなこのーと』を一緒に観ないか

 

乱平「だから、意味わかんねえ話の脱線すんなよオッサン!!

 

生奈「ブフッ∵(´ε(○=(゚∀゚ )」

 

乱平「会長!!!!!! なんで殴るんだよぉ」

 

会長の生奈「ばるとさん!! わたしも『ひなこのーと』観ます!

 全然ああいうアニメ詳しくないんで。

 言うなれば『ゼロ』ですかw」

 

誠「おれも実は『ひなこのーと』は途中で止まってるからちょうどいい機会ですねえ。富田美憂だったり高野麻里佳だったり、伸び盛りの若手の演技をじっくり観てみたい」

 

剛「おれも『ひなこのーと』はOPとEDだけなんですよww」

 

大豆生田「( ゚д゚)ハッ! じゃ、じゃあ、わたしも『ひ・な・こ・の・ー・と』?

 観ます!! ばるとさんや、センパイたちと!!

 

 

 

乱平「(・д・)チッ」

 

 

 ↓ひなこのーと』第1話

 

 

 

*1:名字と同じで紛らわしいが、広島剛の地元