【アニメを考える会】素直じゃなくってごめんなさい(前編)
はい!
「アニメを考える会」名誉会長第2号の、大野生奈(おおの・せいな)です。
大学を卒業したので、会長職を降りたのですが、内部の大学院に進学したので、このサークルに居座っています。
で、今年度の会長はだれ? という話になってくるのですが、候補はふたりいて、
- 広島剛(ひろしま・つよし)
- 薬島誠(くすりじま・まこと)
ーー4年生なのですが、ふたりとも浪人しているので、わたしと『タメ』です。
それで、剛と誠が話し合った結果、剛が会長、誠が副会長ということになりました。
剛のほうが誠より昨年度多くのアニメ作品を観ていたので、剛が会長をやることに決まったとか。
サークル室
剛「アニメの本質は作画だよ」
誠「アニメの本質は声優だよ」
剛「収拾がつかんなあ。おーい生奈、おまえは、アニメの本質はなんだと思う」
わたし「(剛のほうを見ないで)……絵コンテ。」
剛「富野みたいなこと言うなあ、生奈は。『ガンダムを作ること』が夢なんだから、仕方ないかw」
わたし「(そっぽ向いて)富野イコールガンダムなの? 呆れた」
剛「ひ、ひとの目を見て、受け答えしような!」
わたし「富野はガンダムじゃありません」
誠が、剛に、なにか耳打ち話をしている。
わたしは、ここ1ヶ月ぐらい、剛とうまく会話できていない。
× × ×
剛が、講義を受けに、サークル室を出ていった。
わたしは黙りこくってPCの画面で『オーバーマン キングゲイナー』を観ていた。
誠はヘッドホンで音楽を聴いている。たぶん、何かのアニメのキャラクターソングアルバムだろう。
× × ×
45分経過
誠が、ヘッドホンを外して、
わたしの顔を向いてしゃべり始めた。
誠「仲直り、できてないのか?」
わたし「(びっくりして)誰と!?」
誠「決まってるだろ、剛と、だよ。」
そういえば、
「ごめんなさい」も言っていない。
わたし「……ごめんなさい」
誠「? ごめんなさいは剛に言うべきだろー。
おまえなあ。」
そうだった。
「ごめんなさい」はケンカした剛に言うべきだった。
でも、「ごめんなさい」を言うべき本人は、この場にいない。
つづく