アニメ放映枠講座「プリキュアの放映枠の起源は?」
如月会長「現在プリキュアが放送されている日曜朝8時半の放映枠、『おジャ魔女どれみ』もこの時間にやっていた記憶があるんだけど、この放映枠、いつからあるのかしら?」
乱平「まず、これはテレビ朝日の放映枠ではなく、関西の朝日放送(ABC)の放映枠です」
如月「はい」
乱平「むかしむかし、『とんがり帽子のメモル』というアニメがありました。会長の大好きな佐藤順一の出世作です」
如月「いつのアニメなの」
乱平「1984年のアニメです」
如月「昭和……( ゚д゚)」
乱平「で、84年の秋の番組改編で、『とんがり帽子のメモル』が、土曜のゴールデンタイムから、日曜朝8時半に枠移動されます。これが、現在の『プリキュア枠』の起源です」
如月「30年以上も枠が存続しているのね」
乱平「ただ、この枠は、女児アニメだけを放映してきたのではありません。少年漫画が原作のアニメを複数放映した実績があります」
如月「Σ(゚◇゚;)マジデッ!?」
乱平「『まじかる☆タルるートくん』というジャンプの漫画、ご存知ありませんか?」
如月「ない」
乱平「まぁ、現在は作者のほうが有名になった感がありますが……(遠い目)
それで『まじかる☆タルるートくん』がアニメ化されて、今現在プリキュアがやっている枠で放送されていたんですよ」
如月「いつ」
乱平「1990年から1992年」
如月「わたしたちが生まれる前じゃん」
剛「順を追って説明してくれよ、『とんがり帽子のメモル』の後番組は何だったんだよ」
乱平「『はーいステップジュン』というアニメです」
剛「まったくわからない」
乱平「大島永遠という漫画家をご存知ないですか?」
誠「あ! 『女子高生』の作者?」
乱平「そうです。
そして、大島永遠のお父さんが、『はーいステップジュン』の原作である大島やすいち先生なのです。
ただ、元になった漫画からは、かなり設定が変わっていたようです」
乱平「そしてですね、『はーいステップジュン』の後番組が、『メイプルタウン物語』だったんですよ」
如月「あ! サトジュンさんの初SD(シリーズディレクター)作品!」
乱平「お目が高い。
サトジュンは放映開始当時25歳でした」
誠「マジかよ……(;・∀・)」
乱平「80年代後半になると、若手の演出家が、TVシリーズの監督やシリーズディレクターを任されるようになります」
大豆生田「監督と『シリーズディレクター』はどう違うの?」
乱平「東映アニメーションは、TVアニメでは原則として監督を置かないんだよ。その代わり、監督より少し権限の弱い『シリーズディレクター』が演出をまとめることになっているんだ」
剛「ずいぶんざっくばらんな説明だな」
乱平「便宜上、短く話したまでです」
大豆生田「東映アニメーションには、監督はいないの?」
乱平「いるよ。劇場版アニメだと、肩書きが『監督』になるんだ」
大豆生田「どうして?」
乱平「ま……また今度ね!」
乱平「続編の『新メイプルタウン物語 パームタウン編』では、サトジュンがSDから退き、ベテランの設楽博がSDになりました。
設楽さんは『はーいステップジュン』のSDです。その下に『シリーズディレクター補』という役職があって、それがサトジュンだったのです」
誠「つまりどういうこと」
乱平「上司(設楽博)が部下(サトジュン)の担当した番組の続編を任されたということです」
誠「ふーん」
乱平「で、『新メイプルタウン物語 パームタウン編』放映中に、『ビックリマン』というアニメが始まるんです」
乱平「そうです。お菓子を捨ててシールだけ保管したという」
誠「『新メイプルタウン物語』と『ビックリマン』になんの関係があるんだよ」
乱平「1987年の秋改編で、当枠は今で言う『コンプレックス枠』になります」
誠「???」
乱平「つまり具体的に言うと、『新メイプルタウン物語』は30分から15分に短縮され、そこにやはり15分枠の新番組『ビックリマン』がつながったわけです」
誠「あーなるほど、違うアニメを15分ずつ編成したんだな」
乱平「しかしながら、87年末に『新メイプルタウン物語』が終了すると、88年1月から『ビックリマン』が単独枠に、つまり30分枠になりました。
ちなみに『ビックリマン』のSDは貝澤幸男で、放映開始当時27歳でした」
剛「ひえ~っ」
乱平「ちなみにサトジュンも『ビックリマン』の演出ローテに入っているんですよ」
ーーそして昭和が終わり……