死ぬまでオタク

(基本的に)テレビとアニメしか観ません

【アニメを考える会】乱平とはるかの往復書簡 #2

前回の手紙

 

落ち着いて乱平くん。あなたがアニメについて真剣に向き合おうと思うようになったのは、とてもいいことだと思う。でも物事には段階ってものがあるよね? 

乱平くん、いきなりアニメの第1話を観ただけで「思想」みたいなものを引き出そうとしてるんじゃないの?

ばるとさんがむかし言ってたんだけど、

 

「おれがむかし所属していた評論サークルの元締めの人は、『なにかを身につけるには10年かかる』と公言していた」

 

んだって。ばるとさんは、その『評論サークルの元締めの人』と犬猿の仲になって、その評論サークルから追い出されたらしいんだけど。

「ま、原因はおれのほうにあるんだし、もう過ぎたことだし」ってばるとさんその時言ってたんだけど、どうもばるとさん本心では「過ぎたこと」とは思っていないような素振りだった。

 

それはいいとして、『なにかを身につけるには10年かかる』という意見についてばるとさんが肯定的なのか否定的なのかわたしにはわかんないけど、ほらわたし剣道やってたでしょ? 小学校に上がったときだったかしら、始めたのは。わたし1998年度産まれだから、もう剣道始めて15年くらい経つのね。10年どころじゃないと思うーー、剣道を身につけるには、もう15年必要だと思ってる。武道って、そういうもの。スポーツ苦手な乱平くんにも想像くらいはつくでしょ? アニメと武道を天秤にかけて「武道のほうが極めがいがある」って言ってるんじゃないの。

ただ、もしかしたらアニメだって一生かかっても身につけられないものかもしれない、そのことを乱平くんにも意識してほしい。

 

わたし「アニメを考える会」なんてこんなサークルに迷い込んでしまった以上、アニメを単なる暇つぶしにすぎないモノだとは、もう思わない。こういう手紙のやりとりをするって決めたからには、わたしも真剣で向き合う。真剣「に」じゃない、真剣「で」向き合うの。これはある意味剣道よりも過酷ね。だからといって、いま、乱平くんがノイローゼみたいになってるのと同じで、アニメに対して何事かを見出すという行為の前前前前段階の状態なんだとわたしも自覚してる。そうね、大切なのは、焦らないことじゃあないかしら。だってわたしと乱平くんばるとさんよりも10歳も年下だもんね。

 

それにわたしたちの現状、『学戦都市アスタリスク』っていう、ファーストシーズンだけで全12話(これは乱平くんが教えてくれたのを偶然わたしが書き留めておいたのだけれど)あって、全部見通すのに5,6時間はかかる(かつての乱平くんなら余裕で『一気見』しちゃうでしょうけど)テレビアニメの12分の1しか観てないんであって、第1話しか観てないってことはそういう現状だよね。乱平くんわたしに言わせれば、ヒドい言い方かもしれないけど「病み上がりの病人」みたいな状態だから、アニメを観ること自体しんどい面もあるんでしょう。

だったら、落ち着いて。

 

 

でも乱平くん、『学戦都市アスタリスク』の第1話について「ヒント」をくれたよね。学戦都市アスタリスクっていうアニメを考えるための糸口。いや、今はわたしたち<アニメを考える>の前段階だから、『アスタリスク』を理解するための糸口、を乱平くんがくれたーーこう言ったほうがいいかしら。

乱平くん、手紙で「アスタリスク』の1話は3つの部分に分けられる」って書いてたよね?

 

  1. ユリスの着替えを見てしまった綾斗が、ユリスに押し付けられた決闘
  2. その決闘を仲裁した生徒会長クローディアと綾斗の長々とした対話
  3. ふたたびユリスが出てきて、レスター・マクフェイルに因縁をつけられ一触即発になる

 

しょうじきわたし、「『アスタリスク』の1話が3つの部分に分けられる」なんて、本編を観ても思いもしなかった。やっぱり冴えてるのね、乱平くん。わたしあの1話、4回くらい観返してるんだけど。それにしても中学生の男の子がいかにも喜びそうなサービスシーンがいくつかあったから、いくらスマホって文明の利器があったからって人前ではとても観れなかった。家のリビングのソファーでも無理だった。だから自分の部屋の机で夜にこっそり観てるんだけど、決してこれは愚痴じゃないから、わかって。

 

それはそうとして、乱平くんが「3つの部分に分けられる」って分析してくれたから、わたしもアスタリスク第1話を「分析」しようと思うんだけど、乱平くんの「3分割理論」を使わせてもらうね。文章が長くなってきたからいったん切るけど、

 

  1. ユリスの着替えを見てしまった綾斗が、ユリスに押し付けられた決闘

 

つまりこの「1.」の部分から手をつけたらいいと思うの。べつだん乱平くんも異論ないでしょう? わたしたちに「批評」なんてできるわけないから、この「1.」の部分を「解釈」できたら上出来だと思うけれど……そもそも、「解釈すること」と「考えること」ってどういう違いがあるのかしら。でもそんなこと思ってられないね、わたしたち。とりあえずこの部分を観返してくるから、乱平くんはわたしの手紙のつづきを待っててね。