【アニメを考える会】素直じゃなくってごめんなさい(後編)
わたしは、ギクシャクしてる剛と和解したくて、
剛が講義が終わって教場から出てくるところを待ち構えていた。
剛の教場は、はるかちゃんに連絡して教えてもらった。
× × ×
学生が、ぞろぞろと教場から出てくる。
その中に剛がいて、
わたしと剛は眼が合った。
剛「( ゚д゚)せ、生奈!?」
× × ×
公園の森のなかを、
剛とふたり、歩いている。
剛「なんだって教育学部の建物まで来たんだ」
理由を、理由を、
言わなくちゃなんないのに、
言えない。
剛「なんだよ、言わなくちゃわかんないだろうが」
はやく言わないと、剛がイライラしてくるかもしれない。
「ごめんなさい、って言いに来た」
と、剛に話す『勇気』がほしい。
『勇気』ーー?
『デジモンアドベンチャー』の、
八神太一の、
『勇気の紋章』。
アグモンなら、
「勇気をだして」と、
言ってくれるはず。
わたし「ね、ね、ねぇ、『デジモンアドベンチャー』っていいアニメだったよね」
剛「? 細田守が作った映画しか観てないなあ」
わたし「ーー剛は、ウォーグレイモンとメタルガルルモンのどっちが好き?」
とつぜん、
剛が、わたしの真正面に立った。
剛「なにが言いたいんだよ、おまえ」
わたし「つ、つよしは、ワーガルルモンが一番好きそうだよね……」
剛「はぐらかすなよ。
生奈はもっと素直だと思っていたけどなあ」
わたし「お、おなじ完全体だったら、やっぱりわたしはメタルグレイモンかな。
だからーー」
剛「はあ?」
わたし「ごめんなさい!」
言えた。
勇気を出せた。
ありがとう、アグモン。
ありがとう、太一。
剛「劇場版パトレイバー観ててケンカになったときのこと?
あれは、あやまるのは、おれのほうだよ。
ちょっと言いすぎたし」
わたし「言いすぎた……?」
剛「アニメーターの名前を言いすぎた。
そんで、おまえがついていけなくなるまで作画の話をしちまったからさ。
ごめん。」
いつの間にか、森の出口の噴水が見える。
剛「生奈はさ、レイバーを作ってみたいのか?」
わたし「ガンダムのほうが先。
その次が、レイバーかバルキリーかアーマード・トルーパー……」
剛「夢がいっぱいあっていいな」
わたし「ありがと。」