死ぬまでオタク

(基本的に)テレビとアニメしか観ません

【ばると手紙】『ひとひら』(2007)第1回

 

 

ひとひら 1 (アクションコミックス)

ひとひら 1 (アクションコミックス)

 

 

 かつて、『コミックハイ!』という雑誌がありました。「男性向け少女漫画誌」というコンセプトの、月刊誌でした。

 

 意味がわからないでしょう? 男性向けの少女漫画なんて。

 

ひとひら』の原作の掲載誌が、『コミックハイ!』でした。

 そして、『ひとひら』は、おっさんっぽい形容ですが、まさにテレビアニメ放映当時の2007年、『ナウい』漫画でした。『ひとひら』が2007年春期のアニメ、次のクールで同じ掲載誌の『ぽてまよ』がアニメ化され、これも評判が良くて、『コミックハイ! に追い風が吹いている!』と感じていたものです。

 

 で、『ひとひら』の中身を読んでみると、ほんとうに『男性向け少女漫画』というコンセプトにたがわぬ漫画なのです。アニメ版第1回の時点で、『コンセプトにたがわぬ』とはどういうことか把握するのは無理でしょう。

 ただ、わかりやすい少女漫画要素は2点ほどあります。

 

1,演劇がテーマだということ。『ガラスの仮面』ってありますよね。日本でいちばん有名な少女漫画のひとつです。でも貴女は、『ガラスの仮面』の題材が演劇であることもご存知ないかもわかりません。ともかく、少なくとも当時は、『ガラスの仮面』の影響もあって、演劇を題材にするということは、容易に少女漫画的モチーフにつながっていました。

 

2,西田甲斐(にしだ かい)くんの存在。言ってしまえば、少女漫画ならば、ヒロイン(主人公)の麻井麦(あさい むぎ)の相手役ポジションの男の子です。西田甲斐くんって誰ですか、って? ほら、麦が入った高校の初日のホームルームに遅刻してくる男の子がいたでしょ? 彼です。同じ学校に通うお姉さんにいつも追いかけられているようなそんな男の子です。黒髪のトンガリ頭。

 さて、麦ちゃんと甲斐くんは、はたして「くっつく」のでしょうか。ネタバレしてしまうと、アニメ版の段階ではそういうところまで進展しません。「なんだ……」とガッカリしないでください。『ひとひら』の原作は、アニメ化された部分のあともちょっとだけ続くのです。

 

 OPのラストカットを観ると、主人公の麦を中心として8人のキャラが出ていますが、3人:3人:1人ーーに分けて説明しようと思います。

 あれ? 3人:3人:1人だと、7人でもう1人が足りないんじゃないか? と思うかもしれません。今回のけものにしてしまったのは、神奈ちとせというキャラクターです。新入生勧誘のための演劇部公演に感動して、演劇部の入部を決めた娘ですが、心配しないでください、第2回以降出番は存分にありますから。

 

1年の同じクラスの3人

麻井麦(あさい むぎ)

 すごく引っ込み思案で話し声がうまく出せないような内気な女の子です。この時点では、演劇研究会(あれ、演劇部と演劇研究会が共存してるのは、おかしいですね)の先輩に勧誘されても、自分には演劇なんて一番無理だと思っています。 

 声がうまく出せないといっても、外見が暗いというわけではなく、なかなか可憐な容姿の女の子です。ちょっと少女漫画の主人公的ですよね。ただ、貴女は麦の声を聴いて、声優が麦の可憐さ・か弱さとミスマッチングなのではないかと思ったかもしれません。樹元オリエさんという声優さんなんですが、軸足はむしろまさに舞台活動のほうに置いていたと思います。

 樹元オリエは、このアニメの主要構成員の声優のなかでひとり「浮いたキャスティング」で、ぼくは個人的には、約12年ぶりに麦の声を聴いたわけですが、個人的には、「このくらいアニメに慣れていないと、かえって麦が『こういう声だ』というのは新鮮味がある」と思っています。麦はミスキャストに聞こえてじつはミスキャストではなかったんではないかというのがぼくの考えです。

 

 遠山佳代

 高校に入る前からの麦の親友です。佳代ちゃんの演技のほうが自然に聞こえたことでしょう。写真部に入るようですが、なにやら大きな野望を抱いているようです。

 

西田甲斐

 さきほど述べた通りです。声優は岸尾だいすけ、この頃は『ロザリオとバンパイア』など他作品でも少年役を演じていましたが、『ZOIDSゾイド)』の主人公・バン役の印象が個人的には強くて、しかも『ZOIDS』の放映開始は1999年末でした。これは2007年のアニメです。今更感、という3文字で、『ひとひら』で甲斐が岸尾だというのが、いま振り返ると、少しイレギュラーだったのかもしれません、

 

文字数が2000字に迫るので、一旦切って、キャラ紹介は次回(第2回)に続きます。