テレビアニメ『るろうに剣心』の主題歌について思いっきり主観的に書いてみる(『そばかす』編 プロローグその3)

1996年 『るろうに剣心』を放映していたフジテレビで アニメ放映の件で ふたつの大きな動きがあった

 

  1. 長期アニメ『キテレツ大百科』の終了
  2. 世界名作劇場」の地上波最終作品『家なき子レミ』放映開始

 

2に関しては 語弊があるかもしれない 『家なき子レミ』が終わったのは97年3月 事後的に世界名作劇場の地上波最終作品となったのであって 僕の記憶からすれば 後番組の『中華一番!』(97年4月)が突然始まったーーそれはつまり 世界名作劇場が突然終わったような認識を与えたということ しかしながら 『家なき子レミ』の前番組の『名犬ラッシー』が全25回 なおかつ 放映期間たった7ヶ月で終わった時点で 僕より年長の人には 世界名作劇場の終幕が 意識されるようになったのではないだろうか…

 

1に関しては あまり説明はいらない ただしそれは 僕と同世代の人間に向けてはーーの話で 『キテレツ大百科』 特に静岡県で ヘビーローテーションで再放送されていると聞くし スカパーリア充向けアニメ専門局の「アニマックス」でも かなりの頻度で再放送が繰り返されてきた印象 それに 僕が東京で生きていたとき それも2010年代に 独立ローカル局で 平日夕方 再放送していたのを視聴した記憶がある どのローカル局かは釈然としないが たぶんTOKYOMXで ほかの首都圏のローカル局でも もしかしたら再放送がなされていたのかもしれない 『キテレツ大百科』は 平成期において もっとも再放送されたアニメのひとつだ

だから 僕より下の世代の人間にとっても 『キテレツ大百科』について 説明をこころみることは 「無用」なのかもしれない が 88年生まれの僕は 『キテレツ大百科』を 日曜19時枠でリアルタイムで観ていた 奇しくも 1988年は キテレツが放映開始した年 ただ放映初期は僕は赤ん坊で とうぜん作品の晩年しかリアルタイムでは観ていないわけだけれども いまだに語り草になっている感動の最終回は かなり明確な記憶として構成されているのだ

さて 『キテレツ大百科』の後番組は 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』だった このアニメは 90年代生まれでも 日曜の19時にやっていたのを リアルタイムで観た記憶があるひとが多いであろう それに これまた「アニマックス」だが アニマックスでは ほんとうに狂気じみたレベルの頻度で 『こち亀』を再放送していて 現在に至る なのでたとえば 高松信司が監督だった時代の のちの『スクールランブル』(2004年)『銀魂』(2006年)に接続する アヴァンギャルドな作風をたたえたエピソードも かなり広い世代に浸透している

 

週刊少年ジャンプ」的な観点からいえば 『るろうに剣心』と『こちら葛飾区亀有公園前派出所』は 同年・1996年の放映開始 さらには 恐らくローカルセールス枠で 全国同時ネットではなかったにしても 同じフジテレビで 『忍空』の後番組として 『みどりのマキバオー』が放映開始 好評だったのか 1年4ヶ月も放映が続いている

他局 テレビ朝日では 裏番組に視聴率を削られ 『スラムダンク』が尻切れトンボ的なかたちで放映終了 あとを追うように 原作が 巻頭カラーだった1996年27号を持って連載が途切れる*1 いよいよ「週刊少年ジャンプ」に 暗黒時代を迎えたプロ野球チームのような空気が たちこめてくる

スラムダンク』の後番組は 『地獄先生ぬ~べ~』 申し訳ないが 『スラムダンク』と比べると 存在感の薄い原作のチョイスだった 現在では 『地獄先生ぬ~べ~』という漫画作品が 複数の観点から再評価されていて作品の地位も向上している という現象を 把握していないわけではないし たとえば「スラムダンクよりぬ~べ~のほうが面白かった」と証言する 当時小学生の人間を 何人も想定できる

それでも 事後的に振り返っての話ではあるが 『マキバオー』と『ぬ~べ~』のアニメ化 そして『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の単行本が100巻に達することにかこつけて (週刊漫画としては)『ギネス記録』であることをしたたかに吹聴しながら 『こち亀』を担ぎ上げて アニメ化にこぎつけたこと これらの出来事は じつは いわゆる『ジャンプ暗黒期』の 裏返し的な現象であった

 

当時僕は小学校低学年 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の通算100巻・連載1000回というこち亀フィーバー』を『こち亀フィーバー』として純粋無垢に受け止めていた しかも テレビアニメが始まることに ワクワクしていた

 

連載開始から20年も経った『こち亀』が、今になってアニメ化されるなんて!! 

 

さあ あなたは ↑のこのセリフを どちらに解釈するだろうか 「どちらに」というのは 「正」の意味か 「負」の意味か 当時鼻タレ小僧だった僕にとって

 

連載開始から20年も経った『こち亀』が、今になってアニメ化されるなんて!!  

 

というのは 感激だった なにも知らなかったから いや ジャンプがマガジンに売り上げを抜かれたことは 実は認知していたのだが それでも『こち亀』がテレビアニメ化されることは 驚きであり 感激だった

振り返ってみると 通算100巻・連載1000回で『フィーバー』を起こしたことからは 編集部の必死さと焦りが汲み取れるし たとえば僕より上の世代にとっては 『弾切れ』… もとい この期に及んで『こち亀』を担ぎ上げることが 通算100巻・連載1000回という事実は喜ばしかったにしても 『ジャンプが危ない』という意識をいっそう強くして つまり

 

連載開始から20年も経った『こち亀』が、今になってアニメ化されるなんて!!  

 

という響きは ネガティブな『詠嘆』だったのではないかと 僕は推察するのである

 

 

 

 

 

ところで 今回 『るろうに剣心』のことを まったく書いていないが 『るろうに剣心』と『こち亀』で 共通点がある それは 『るろうに剣心』を当初作っていた制作会社と『こち亀』を終始一貫して作っていた制作会社が 同じだったことだ

その制作会社の名は 『スタジオぎゃろっぷ

 

つづく

次回予告 96年付近における日本のテレビアニメの「危機」について(予定)

*1:「ジャンプ」側はかなり根に持っていたらしく ジャンプ・コミックスのカバーにおいて 『スラムダンク』を「既刊31巻」扱いにしていた たとえば手元にあるジャンプ・コミックスだと 『シャーマンキング』第1巻 これは初版ではなく 2001年発行の第20刷だが 巻末カバーのジャンプ・コミックス紹介欄で 『ドラゴンボール』の名前がないのに 『スラムダンク』を既刊扱いにしている